小高い丘を上がっていくと目の前に突然広がる夢工房が「あけぼの・保育学院(現 あけぼの・幼保学院)」。豊かな自然と文化財に囲まれた奈良県西端に位置し、隣接する大阪府から交通至便な香芝市関屋に1992年(平成4年)「あけぼの・保育園」として開園。「心を育てる環境保育」とうたう通り、「丘の上」「太陽」「風」「水」「川のせせらぎ音」「いのり(子供たちの幸せ)」をキーワードにしたのが同学院のシンボルマークです。
入口に設置されている二宮金次郎像・尊徳像の次に目に飛び込んでくるのが、近鉄あやめ池遊園地内で走っていた汽車。四季折々の花が咲いている花壇、そして正面には間口35メートルの滝、さまざまな大型遊具などはまさしく夢のあるテーマパーク。
昨年6月の「ほたる・まつり」には園児や卒園者、保護者も含め3,000人余りの人が訪れて幻想的な夕べを楽しみました。ホタルの幼虫が捕食するカワニナ(巻貝)が、滝を建設した際に汲みあげた湧水に生息したのがきっかけ。
9月には恒例となっている「あけぼの・まつり」が盛大に開催されます。当日は数々の楽しいイベント、多くの屋台、メインの150発もの打ち上げ花火に4,000人が酔いしれます。「小さな子供たちが喜び、子供の心を育て、夢を与える環境そのものが私ども学院の保育教育である」という楠瀬八生学院長先生の思いがうかがえます。これだけの集客規模になると一つの保育施設でのイベントというよりもそこを拠点にした地域イベントになりつつあると言えるでしょう。この地で生まれ育った人たちが成人してやがて県外に出て行っても、年に一度「あけぼの・まつり」の時には必ず故郷に帰って来てほしいという熱い願いが込められているようです。
テーマパークと言えば代表格は東京ディズニーランド。そのコンセプトの一つが「非日常性」。人に夢を与える国に日常的なゴミがあってはいけないという考えから、同じように4,000坪もある広大な敷地内にはゴミが見当たらなく掃除が徹底されています。落ちている小さなゴミに気づかないようでは子供が何をしたいか?を感じることができない。美しいものを美しいと感じる情緒を育てるためには、まず保育士自身が素直な心を持たなければいけないと。
石井方式の漢字かな交じり絵本は、立腰教育と同時に2008年(平成20年)度から一斉に導入されました。毎日行っている立腰と絵本読み、古典や詩の音読の励みと目標になればと、昨年秋、音読コンクールに初めて応募。年長クラスが「ジャックと豆の木」と「平家物語」で、年中クラスが「聞き耳頭巾」と「かぐや姫のおひたち」で、見事に「優秀賞 金賞」を受賞されました。
開園した当時の園児数が17名。「保育園から私学の小学校へ行くのは無理」という世間一般の偏見を解くため、20年目に当たる昨年に園舎改築をした際に思い切って名称を「あけぼの・保育園」から「あけぼの・保育学院」に変更。現在、園児307名、職員70名を有し、併設の学童児を預かっている「太陽の丘児童館」も増員(現在84名)する予定だそうです。
あけぼの・保育学院として初めて迎えた新しい年。楠瀬先生は「子供に『真(ほんとう)』に必要な体験、保育教育を実施します。ただ預かるのではなく、人間力を育てる学院です。本学院は、『日本人の魂を持って、世界に通用するグローバルな人間の育成』を目指します」と力強く語っておられました。あけぼの・保育学院で育った子供たちが立派な日本人になり、将来の日本の曙光(しょこう)として輝くのを楽しみにしているように見えました。