その昔、西方から富士山を運んできた伝説の大男“でいらぼっち”が足跡を残した、と言われる相模原の地に、中央幼稚園は建っています。創立は1970年。今年度完成した3階建ての新園舎を光と風が巡り、子供たちを包み込むように時間が流れていきます。
朝、訪園すると、園庭を元気いっぱいにマラソンする子供たちのほてった顔ときらきらした目が飛び込んできました。教室に入ると、楽しい活動が待っています。活動の節目の「腰骨を立てます」という言葉で、子供たちの心と体は先生に向けられます。歌や百玉算盤等の日課活動、漢字かな交じり絵本の10分間指導と進む中、子供たちの姿勢は崩れません。実はこれらの指導に入る前、先生方は水面下で大変な準備と努力をしているのです。「子供たちの心をつかみ注意をそらさないためのテンポ良い指導とは?」「子供たちの力を引き出し最大限に伸ばす言葉がけとは?」と常に考え、研修に臨み、指導法を身につけ、練習を繰り返します。そんな先生の指導は自信に満ち、子供たちは尊敬の目を持って先生の姿を追うようになるのです。
さあ10分間指導が始まりました。先生は絵本のお話を完全に自分のものにしており、子供たちの目を見て語りかけながら、漢字カードを黒板に貼っていきます。次は、それに応えて子供たちが絵本を読む番です。全員で声を合わせ表現豊かに読み終えました。音読コンクール上位入賞の実力はこうして養われるのですね。
ホールから、切れの良い太鼓の音が聞こえてきました。中央幼稚園の大きな特色の一つ、鼓笛の練習が始まったようです。一人一人が自分に任されたパートの練習に励み、次に全員が集まり協力して一つの形を作り、また変化していく・・・。素晴らしいマーチングに拍手です。相模原市民まつりや神奈川県幼稚園鼓笛フェスティバル等大舞台での堂々とした演奏は、地元の人たちの間でも有名だそうです。
「“継続は力なり”と言います。各カリキュラム(習字・剣道・英語)においても、技術的な『~をできるようにする』ということを目的とするのではなく、毎日の小さな積み重ねこそが大切である、と考えています。そして子供たちには、将来何かをやりたいと思った時に、できる頭・体・姿勢の基礎を作っておきたい、と思うのです」と園長先生は語ってくださいました。それを実践される先生方に導かれ励まされて、中央幼稚園の子供たちは一歩ずつ前進していくのです。