上代(うえだい)幼稚園は大阪の南西部にあたる泉州と呼ばれる地域にあり、周りに池が点在するなど、自然豊かな環境です。昭和44年に開園した保育園を前身に、昭和56年から現在の場所に幼稚園として開園されました。
上代幼稚園は、正課で漢字かな交じり絵本、和太鼓、剣道、作法、体操、スイミング、英会話など体力と知力のバランスに配慮した総合教育に取り組まれています。「教育の目的は子供が大人になった時の姿を想像して“困らないような人にすること”に尽きます」と田端園長先生はおっしゃいます。「誰かから強制されるのではなく、やりがいのある人生を自分で見つけて精一杯生きてほしい。幼い時に体験したことは、目先の結果につながらなくても将来、何かの役に立つはずです。そのために幼児期に体験を増やしてやりたいと考えています」。
さまざまな取り組みの中でも、すべての基になるのが2歳児から取り組んでいる漢字かな交じりの絵本の指導だとのこと。「漢字かな交じり絵本を読むことで、子供たちは人の話をしっかり聞き、理解する力が付いてきます。人の気持ちを汲みとる力も付くように思います。将来さまざまな学習につながる力となる国語教育は手放せません」とおっしゃいます。正課だけではなく、課外にぴのきおスクールを設置され、国語教育に力を入れておられます。
そして、日々の生活面で大切にしているのは、挨拶・返事・後片付け。「挨拶や返事をしっかりできる子供は人の話もしっかり聞け、自分の意見を言える子供が多いです」と、自ら進んで挨拶ができる子供を目指しています。“背中を曲げない、腰から曲げる”挨拶の姿勢は、園長先生が指導されるお作法に基づいたものです。生活の中で礼儀に親しんでいる子供たちは、礼に始まり礼に終わる和太鼓の緊張感も気持ちの良いものと感じているようでした。
子供たちが生き生きと活動できるよう生活環境を整えてやることが大切だとも話されます。「近年、暑い時期は熱中症を心配して外遊びがままならないということもありますが、水筒を置いておく場所を決めて、水分を取るよう声掛けをすることなどで熱中症は防げます。これは子供たちの生活環境を整えてやるということの一つです」。
2歳児クラスを開設して子供とその保護者の寄り合う場を設けたり、卒園後、夏に1年生から6年生が集う会、そして小学1年生の春と6年生の3月に同窓会を開くなどの機会を作って卒園児たちの成長を見守る園の存在は、世代を越えて地域に根差したものになっています。園全体をおおらかな優しさが包み込んでいるような心地良さを感じる上代幼稚園でした。