奈良県香芝市の緑豊かな住宅街にあるあけぼの・幼保学院。昨年度の音読コンクールでは、最優秀賞受賞を果たしました。石井方式を始めて約13年。何事も明るく、楽しく、前向きに取り組んでおられます。
音読コンクールでは、上位入賞の常連ともなったあけぼの・幼保学院ですが、入賞の秘訣は意外にも「日々の積み重ねを大切にし、特別なことは何もしない」とのこと。常に「先生自身が楽しむ、子供をよく視て、褒める、認める、育てる」ことを心掛け、園児たちが楽しく取り組めるように尽力しておられます。「まねる」は「学ぶ」の第一歩。先生が楽しそうにしているので子供たちの視線は自然と先生へと向き、先生の話に耳が傾き、まねることから学びがスタートしているようです。
様々な日課は、子供を飽きさせることなくテンポ良く進め、園児たちの反応が悪ければ早めに切り上げ別の課題へと移行します。移行時には、「立腰」を取り入れ、子供たちに気持ちを切り替えるタイミングも与えています。幼児が持つ一瞬の強い集中力が生きる日課活動で、園児たちは常に生き生きとした表情で先生の話に耳を傾けていました。
また、先生方の絵本読みは非常に感情豊かで、子供たちが登場人物の感情を汲み取りやすいよう鍛錬されています。時には内容について子供たちに質問もし、お話が理解できるようにしている、とのこと。内容がよく理解できているからこそ、素晴らしい音読につながる自信となるのでしょう。
卒園後の園児たちは、小学校入学後も落ち着いて授業を受けることができている、との定評があるあけぼの・幼保学院。石井方式や立腰教育を園で受けて終わりにしてしまうのではなく、もう少し先まで園児たちと関りを持って育てたい、との楠瀬八生理事長先生のご意向で「太陽と森の児童館」(学童)も設立。小学1年生から6年生まで約120名の児童が、継続してあけぼの・幼保学院の学びを吸収しています。緑が美しい人工芝で駆け回る児童たちは皆、明るい挨拶のできる素晴らしい子供たちでした。
一生ついてまわる基本的な礼儀と、自分で考え発信する力を養うことを大切にし、「当たり前のことを当たり前にできる人に育てたい」と、主幹保育教諭の永味寛子先生は溌剌(はつらつ)とした表情でお答えくださいました。職員の方々の明るさと情熱が、子供たちにエネルギーを与えている。そんな印象を受けた園でした。