今回紹介する美里幼稚園は、昨秋のラグビーW杯開催会場の一つである豊田スタジアムに近く、眼下に矢作川が流れる閑静な住宅街にあります。
石井方式漢字教育は、園の創立者であり、名誉園長兼理事長でもある尾関種雄先生の提唱のもと、昭和51年の開園当初より導入されました。子供自身の才能や個性を伸ばすため、漢字・ひらがな学習や知能開発教育、体育、鼓笛など特色ある教育に力を入れておられる実績のある幼稚園です。
平成元年4月には、漢字教育の国際交流の一環として、台湾の長青幼稚園と姉妹園提携をされ、また平成3年2月には、創立15周年記念行事として石井勲先生をお招きし、漢字教育公開保育を開催されました。県内から多数の先生方が参加され、意見交換が行われたということです。
「漢字教育の目的は多彩だが、中でも漢字学習を実践することにより、推理力・想像力・判断力・集中力が養われます。そこに大きな意義がある」と、園長の尾関忠雄先生は目を輝かせながらお話しくださいました。園では漢字絵本やカルタ、カード等を用いて漢字の面白さを実感できるよう創意工夫し、全園児に年間を通して実践され、着実な成果をあげておられます。また、『音読コンクール』にも毎年エントリーされ、日頃培っている素晴らしい音読を発表されています。年長児は園生活や行事等の体験を通して感じたことや学んだことについて思い思いの作文を書き、毎年発行される卒園文集「想い出」に載せています。
幼児期だけに終わるのではなく、卒園児にも、この石井方式を継続して実践させたいという思いを持っておられた園長先生は、課外教室「ぴのきおスクール」の話が出るとすぐさま開講を決定。愛知県内で最初に取り入れられ、園長先生自身も時折教室を見学されているということです。
園で培われた「ことばの力」が子供自身の力としてしっかりと身についていることは、園での日常生活を見ていると容易にうかがい知ることができました。その吸収力と伸びしろの大きさは、目を見張るほど計り知れない可能性を感じさせてくれます。長年子供たちを見てきた私たちも、改めて目を見張ると同時に背筋が伸びる思いがいたしました。
美里幼稚園が目指すのは、園訓「真面目に努力する子」を教育理念とし、知育・徳育・体育の三徳教育を重んじた愛情ある教育活動です。保育者からは、子供たちに向けられたまっすぐな愛情と、芽生える才能を伸ばし豊かな感性を育みたいという真摯な想いが伝わってきました。
帰り際、青空に映えるメルヘン調の園舎と丸いドームに子供たちのにぎやかな声が響いていました。その躍動感あふれるパワーは、訪問者に子供たちの夢いっぱいの未来を想像させてくれます。こちらまで元気をもらい、園を後にしました。