「金山総合駅から徒歩約15分、地下鉄名城線・西高蔵駅からは、すぐのところですよ」。電話口で園長先生が優しく教えてくださいました。地図を頼りに金山駅から歩くことにしました。
園の看板を見つけ、石畳を通り山門をくぐり抜けると緑豊かな広い敷地にびっくりしました。
高蔵幼児園は、浄土宗雲心寺が母体となり昭和24年に創立された歴史のある園です。最初に本堂にご案内していただき、子供たちと一緒に仏様に参拝いたしました。本堂に安置されている立派な丈六本尊の阿弥陀如来は、名古屋三大仏の一つだそうです。
仏教の教えをもとに健やかな心と体を育てる総合教育を実践され、幼児期に遊ぶことの奥深さを何よりも大切にしながら、未来へ向かって伸びる子供たちの明るい笑顔と輝く瞳をしっかりと支えていくことが大切だと、園長先生はお話しくださいました。
身も心も清らかになり、子供たちのいる保育室に向かいました。新年度が始まったばかりの時期でしたので新入園児の中には、めそめそとしている子供たちも目につきましたが、先生の優しい眼差し、溢れんばかりの愛情のこもった接し方に園長先生の思いを感じ取ることができました。年長クラスでは、「腰骨を立てます」の言葉に子供たちが応え、黒板に貼った『論語』を元気よく瞳を輝かせながら先生と一緒に音読していく場面を参観することもできました。
人間の知力の根幹は言語であり、心の拠り所を作るのもまた言葉であるとの考えから、石井方式を長年にわたり実践され保育の柱とされています。漢字かな交じり絵本はもちろんのこと、美しい言葉が数多く蓄積されている古典作品も取り入れておられます。
園の敷地内に農園を持たれ、四季折々の野菜や果物を子供たち自身の手で育てています。落ち葉を集め腐葉土作りから始めるという本格的な作業です。実体験を通して育てる喜び、収穫したものを口にできるという喜びが重なり合い、「いただきます」の精神がしっかりと身についています。
「優しい気持ちや思いやり、感謝する心、最後までやりぬく強い精神力を園生活で身につけた子供たち。その子供たちの10年後、20年後の姿を楽しみにしています」。園長先生は目を細めながら優しくお話ししてくださいました。