上信越自動車道から富岡ICを降りて3分ほどで、むつぎ幼稚園が見えてきます。群馬県富岡市といえば、世界遺産の富岡製糸場で有名ですが、昔ながらの田園地帯が広がり、むつぎ幼稚園も豊かな自然に囲まれています。
園に入ると教室から元気いっぱいの歌声が響いてきました。教室では先生がパネルシアターと漢字を組み合わせた独自教材を使い、楽しそうに童謡の世界を表現していました。童謡にも漢字カードを使うことにより、言葉の意味を知り、言葉を丁寧に使い、情感を出して歌えるようになると担当の先生はおっしゃいます。絵本指導でも、子供たちが自ら興味関心を持った物があれば、実物を用意したり、写真で示したりするなど、物語をより実感しやすくするよう工夫していらっしゃいます。
むつぎ幼稚園は平成5年に認可外施設「高瀬幼児園」として始まり、平成25年には認可を得て学校法人の「むつぎ幼稚園」となりました。当初、仲睦まじい6名の職員から始まったことから「むつぎ」と名付けられました。平成28年には幼保連携型認定こども園となり、現在は1歳から5歳まで120名ほどの園児が通っています。
また、理事長先生の「幼児期から日本の文化に触れ、誇りを持ってほしい」という願いから、平成8年、石井方式を保育に導入することになりました。当初は、毎日10分間の「漢字かな交じり絵本」の読み聞かせが主な取り組みだったそうです。それでも先生方の気持ちと漢字の力で、子供たちの姿勢が変わってきたそうです。日々成長する子供たちを見て、日常生活で一層漢字に親しみ、共に楽しく学んでいきたいという思いが先生方に芽生え、現在では絵本に加えてたくさんの独自教材を使った、むつぎ幼稚園ならではの石井方式漢字教育が行われています。
むつぎ幼稚園では「感じる心を大切に、子供たちを導きすぎない指導」を心掛けていると園長先生はおっしゃいます。5月には近隣の方からお誘いを受けて、園児を連れて山に行き、筍狩りをしてきました。事前に「竹」や「筍」などの言葉を説明する際に漢字も一緒に提示することで、子供たちは経験や実態を漢字と結び付けることができるため、その時の感動の記憶を呼び起こせるそうです。
むつぎ幼稚園では普段の遊びや給食でも積極的に漢字を使い、日常的に漢字と触れ合っています。石井方式を中心に子供たちから出た興味関心の芽を見逃さず、指導に取り入れることで、楽しい学びを実践していらっしゃいます。これからのさらなる飛躍に期待が高まります。